食べ歩きの魅力って何かと聞かれたら。
もちろん、店舗毎に異なる様々な沖縄そばをたくさん食べてみたい、という事が一番にくるのですが。
それだけじゃなく、動機はいくつもあります。
なかでも大きいのは、素敵な沖縄そば屋を直接訪ねて、そばを食べること。
お取り寄せや宅配では味わえない、店舗の雰囲気もまた、魅力の一つだと考えています。
たくさん回ることや、効率良く回ることが優先じゃなく、時には迷ったり、回り道をしながら沖縄そば屋にたどり着くのが楽しみなんです。
個人的に好みの店舗は、大規模店や国道沿いの路面店ではなく、少し路地に入った、民家のような佇まいのお店。
家族でやっているような沖縄そば屋にぐっときます。
今回訪問した『そば処 きくや』は自分の好みにビビビとくる沖縄そば屋でした。
場所は、那覇市のイオン那覇店からも近い、那覇市田原にあります。
那覇空港からも近く、モノレールも通っているアクセスの良い地域ですが、店の場所は少奥まっています。
221号線から、路地に入り、周囲は閑静な住宅街にひっそりと佇むように店が。
こういう雰囲気大好きです。
黄色い庇と、のれんが目印。
のれんに『そば処 きくや』のデザインが良い感じ。
店は、こぢんまりとしていますが、座席数はけっこうあって、カウンター席にテーブル席、座敷もあります。
メニューはシンプルに沖縄そばが中心。
素そばを基本に、三枚肉そば、軟骨ソーキそば、本ソーキそば、変わったところでゆし豆腐わかめそばなども。
サイドメニューにくふぁじゅ~しぃがあります。
面白いのが、そばのサイズで、基本が(大)、大きめが(特大)で、(中)や(小)はないんですね。
普通に食べたければ(大)、たくさん食べたければ(特大)って事で良いかと思います。
今回は、店お薦めの三枚肉そばを、(特大)790円でいただきました。
程なくして運ばれてきた三枚肉そばは、見た目も沖縄そばの定番といった感じの造り。
ネギに、かまぼこ、中央に三枚肉。これぞ沖縄そばの王道です。
一番印象的だったのは、このスープ。
とにかく優しい滋味のあるスープ。
鰹出汁と豚、野菜を加えて出汁を取っているそうですが、味付けは、ごくごく控えめ。
パンチがあるスープとは対極の、出汁のじんわりとした美味しさを味わうタイプの沖縄そばです。
ふだん、暴飲暴食しがちな身体に、染み込むような優しいスープでした。
このスープに合わせるのが、不揃いで、縮れの入った独特な麺。
あえて不揃いな太さにした麺が、食感の変化を生んでいます。
手揉みしていることもあって、手打ち麺のような食べ応えがあります。
モチッとした感じもあって、自分は好きですね。
しっかりとした三枚肉は、お薦めだけあって美味しい。
これが定番だよな、と思わず頷きます。
外食というと、どうしても濃厚さや、刺激、ボリュームに目が行きがちですが。
その逆を行くような、ホッとするような、優しい沖縄そばです。
沖縄そばの魅力を再確認するような一杯でした。
皆さんも、休日に小禄の住宅街で、そば屋を探してみてはいかがでしょうか。