今回は、珍しい、見た目が真っ黒な沖縄そば、「唐人そば」の紹介です。
「唐人そば」について、簡単に説明すると。
沖縄そばの由来には諸説ありますが、明治期に中国人の料理人が「支那そば」を提供し、これが人気となり、沖縄でも広くそばが作られることになったという話があります。
当時沖縄そばは、現在の塩味ベースと異なり醤油をベースとした味付けをしていたとされていて、そんな初期の沖縄そばを再現したのが「唐人そば」というわけです。
ちなみに、沖縄そばの歴史について知るは、以下のYouTubeがお薦めです。
沖縄では有名な賀数仁然(かかずひとさ)さん。
「衝撃の沖縄そばの原点!」について語っています。
そんな、「唐人そば」を復活させようと、「一般社団法人沖縄そば発展継承の会」が中心となり、再現する取り組みが行われていて。
現在沖縄では、複数の沖縄そば専門店で、「唐人そば」を食べることができます。
「唐人そば」の歴史や、「唐人そば」が食べられるお店の一覧が、「沖縄そば発展継承の会」のHPで確認できますよ。
ちなみに、私が「唐人そば」を食べるのは2回目。
前回は本部町の「伊豆味そば」で、いただいています。
店によっても味が違うのか、楽しみだ。
今回、訪問したのは那覇市真地にある『下地そば』
識名園の斜め向かいにある沖縄そば専門店です。
民家を改築したようなつくりになっていて、沖縄の人なら昔ながらの家屋に懐かしさを感じるはず。
アットホームな雰囲気が良いんですよね。
沖縄そばは、やっぱり肩ひじ張らずに食べたい。
今回いただいたのは、こちら「唐人そば」650円です。
店のメニュー札には、「110年ぶり再現、唐人そば」の文字が。
沖縄そばの元祖とも言える110年前の「唐人そば」、どんな味だったんだろ。
浪漫がありますよね。
やっぱり、最初に目が行くのが、この黒いスープ。
まず、見た目が沖縄そばと違います。
飲んでみると醤油が凄く印象的。
一般の沖縄そばが、鰹節や豚の出汁が前面にくるのに対し、タレが主体のイメージです。
醤油のキレがあって、スープにもパンチがあり、はっきりと分かりやすい美味しさ。
黒い見た目に驚きますが、味がそれほど濃いわけではありません。
あくまで沖縄そばのスープをベースに、醤油のキレを加えたような印象です。
このスープに合わせるのが『下地そば』の独特な麺。
中細の麺。平打ち麺で沖縄そばとしてはかなり細い方。
縮れていて、硬めに仕上げています。
細めの麺が特徴ある食感になっていて美味しい。
具材は、こちらも沖縄そばでは珍しい豚肉の刻み肉。
昔の沖縄そばって、こんな感じだったんでしょうか。
面白いなあ。
沖縄そばには、もずくとおくらがサービスで付いてきます。
さっぱししてて、良いですね。
『下地そば』の「唐人そば」。
110年の歴史に思いをはせながら食べました。
沖縄そばのルーツという歴史の考証としても面白いし、また、新しい沖縄そばとして、塩とはまた違った魅力があります。
こっちが好きという人もいるんじゃないかな。
「中華そば」と呼ばれたラーメンと同じように、沖縄そばもまた中国からの影響を受けたことが良く分かる一杯です。
食が、交流の中から生まれ、地域で独自に発展していくという事が、沖縄そばからも知ることができますね。
歴史浪漫を感じられる一杯。
複数の沖縄そば専門店で「唐人そば」を食べることができますので、是非一度食べてみてください。
【唐人そば一覧】