ども、さんぺいです。
宮古そばの旅3軒目は、朝9時から営業している『菊栄食堂』へ。
こちら、なんと1948年創業なんです。
昭和23年なので戦後すぐ。
沖縄が日本に復帰したのは1972年で、これだけの歴史がある店は沖縄そば界の中でもすごく貴重。まさに業界のレジェンドです。
場所は、平良港近く、大通りに面していてアクセスしやすい場所にあります。
どうですかこの外観。
年季が凝縮されていて、『菊栄食堂』のシンプルな文字。
佇まいがもう痺れるなぁ。
店内もイメージそのままの雰囲気。
昔ながらの食堂といった感じで、自分からしても時が止まったよう。
沖縄にも以前はこんな食堂がたくさんありましたが、時代と共に少なく貴重な存在になっています。
縁起物の亀の甲羅も、どの店にもあったな。
コンパクトな店内で、テーブル席、カウンター席、小上がりの席があります。
それぞれに歴史が刻まれているよう。
壁のサイン色紙も食堂定番の光景。
人気店の証ですね。
最近では、見かけなくなったピンクの電話。
現役で使われていて、この日も鳴っていました。
これを見られただけでも、訪問して良かった。
『菊栄食堂』のメニューは、シンプルにだけど奥が深いラインナップ。
沖縄そばに、豆腐ちゃんぷるー、野菜ちゃんぷるー、ゴーヤーちゃんぷるー。
そして、ちゃんぽんに、みそ汁卵焼きも。
カレー、チャーハンなどでどれも安い。
宮古そばメニューは1種類、「そば」のみとなっています。
今回は、もちろん宮古そばを注文。
沖縄そばでは、沖縄の陶器(やちむん)を用いることが多いのですが、『菊栄食堂』は器も渋い。
オリジナルなスタイルが残っていることに感激しました。
okinawasoba.hatenablog.com
ちなみに、同じ沖縄そばでも地域性があり宮古地方のそばは「宮古そば」と呼ばれ、特徴があります。
ルックスの最大の違いが、具材を麺の下に隠すように置かれること。
その理由には諸説あり、
①具の表面が乾かないようにするため
②「具も乗せられないくらいに貧しい」という風に見せかけて、近所の目や年貢の取り立てに対抗した
③麺を盛り上げて、より量を多く見せようとした
など様々な説があります。
安心してください。
麺の下からは、三枚肉とカマボコが。
今では宮古島でも少なくなっているオールドスタイルが、『菊栄食堂』では楽しめます。
澄んだ見た目が、印象的なスープ。
透明に近いスープで、見た目どおりあっさりとした塩味です。
あっさりとしていながら、でもしっかり動物系の出汁も効いていてコクもあります。
バランスがとても良く、ふくよかな甘みも。
美味しさに飲むのが止まらなくなる。
シンプルに塩中心の味付け、だけど奥深い味わい、沖縄そばの神髄ですね。
飽きの来ない味だから、長年多くの方に愛されてきたんじゃないかな。
麺は、「宮古そば」の特徴でもあるストレートの麺。
ほぼ四角で、一般的なの宮古そばの麺よりも太めな印象です。
この太さが、食べ応えを生んでいて、もちっと感もあって美味しい。
「宮古そば」とひと口に言っても細麺だけじゃないんですね。
具の三枚肉と赤肉。
噛むほどに味が出る三枚肉、硬めに仕上げていて、噛むほどに醤油味が広がります。
脂身のない赤肉も昔懐かしい感じで良かったです。
「宮古そば」と言えばこの、平かまぼこ。
これがまた美味しいんだ。
シンプルな構成ですが、一つ一つ満足感がしっかり。
「宮古そば」におけるカレー粉を調査している私ですが、『菊栄食堂』でも、もちろんカレー粉を置いていました。
お店の方に聞いたら、昔からカレー粉は定番とのこと。
「逆に、那覇の沖縄そば屋にはカレー粉置いてないんですよ」と話すと、驚いていらっしゃいました。
カレー粉が地域の文化として馴染んでるんですね。

沖縄そばハンターとして、日々沖縄そばを追いかけている私ですが、歴史あるお店で昔ながらの「宮古そば」をいただけて感激です。
お店の外観や内装も含め、色んな事を経て、この一杯が受け継がれてきたんだなと思うとぐっときます。
なかなか宮古島を訪問する機会がないのですが、本当に行けて良かったなというお店。
皆さんも宮古島へ行った際は、是非立ち寄ってみてください。
※情報は、2023年12月訪問時点のものになりますのでご了承ください。
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