ども、さんぺいです。
沖縄そば問題の一つに、「沖縄そばとソーキそばって何が違うの?」があります。
私たちが本土のお客さんを沖縄の食堂へ連れていった時、必ず聞かれるのがこの質問。
沖縄県民には常識でも、初めて沖縄そばを食べる方には、「沖縄そば」と「ソーキそば」の違いが分かりにくいのかもしれません。
私も、日本蕎麦に馴染みがなく、蕎麦の「もり」「かけ」の意味が分からず、東京の立ち食いそば屋さんで戸惑った経験があります。
沖縄そばのメニューが店舗ごとに表示が違うし、沖縄県外から来た方には分かりにくいですよね。
そこで、『沖縄そばの歩き方』では、私なりの沖縄そば分類方法を紹介したいと思います。
沖縄そばの分類の仕方は色々な考え方があり、あくまで個人的な考えということで・・・了解ください。
<目次>
基本的な考え方
1.具でわける
2.地域でわける
3.亜種
4.まとめ
基本的な考え方
分類に入る前に、まず押さえておきたいのが、「沖縄そば」には「沖縄そば」という麺類全体を指す大きな意味Aと、基本の沖縄そば(三枚肉、カマボコ、ネギが乗った)を指す小さな意味aの2種類があるという事。
ちょっと分かりにくいと思いますが・・・
A沖縄そば(全体を指す) > 具材などの分類(ソーキそば、ゆし豆腐そば、a沖縄そば(三枚肉)※小さい意味、てびちそば、肉野菜そば)
という感じのイメージ。
沖縄の人は、まるっと沖縄そば全体を指す時も「A沖縄そば」を使うし、
狭い意味で、基本的な(三枚肉、カマボコ、ネギが乗った)メニューを指す時にも「a沖縄そば」を使うんです。
まだちょっと分かりにくいと思うのですが・・・
狭い意味のでの「a沖縄そば」、最も基本的な形態は、三枚肉、かまぼこ、ネギが乗ったタイプになります。
鰹節と豚から出汁を取ったスープに、沖縄そば特有の麺を合わせたもの。
これが「a沖縄そば」の基本形。
沖縄そば専門店や、沖縄の食堂で、「a沖縄そば」を頼むとだいたいこういったタイプのものが出てくると思います。
これだけまず覚えておいてください。
1.具でわける
沖縄の食堂に入ると、だいたいこんな感じでメニュー札が貼られています。
まずその時点で、「何を頼んだらいいんだろう」とたじろぐわけですが・・・。
「A沖縄そば」の基本的な分類方法として、まず具でわける、というものがあります。
写真を見ながらイメージしていけば分かりやすいと思うので、説明していきますね。
①a沖縄そば、(ただの「そば」という事もある)
≒ 三枚肉そば
最も基本的な「a沖縄そば」です。
狭い意味での「a沖縄そば」を指し、沖縄では単純に「そば」「すば」とも呼ばれます。具材は、三枚肉、かまぼこ、ネギが基本で、紅生姜が乗ったりもします。
三枚肉が具材のため、「三枚肉そば」とも呼ばれますが、概ね「a沖縄そば」と「三枚肉そば」はイコールと考えて大丈夫。
三枚肉は、豚のばら肉のことで、赤身と脂肪が交互に三層に重なっていることから「三枚肉」と呼ばれています。
沖縄県民の大好物です。
ややこしいですが、狭い意味での「a沖縄そば」「三枚肉そば」も、「A沖縄そば」の一つの種類になります。
②ソーキそば
「ソーキそば」です。
具材の「ソーキ」とは、豚の骨付きあばら肉(スペアリブ)のこと。
「A沖縄そば」とは、まるっと全てを指すので、「ソーキそば」は「A沖縄そば」の中の一つの種類というわけ。
ちなみに、ベースとなる沖縄そばの麺、スープは、先ほどの①a沖縄そば、(ただの「そば」という事もある)、三枚肉そばと同じです。
③てびちそば
「てびちそば」です。
具材の「てびち」とは、豚の豚足のこと。
「A沖縄そば」とは、まるっと全てを指すので、「てびちそば」も「A沖縄そば」の中の一つの種類です。
ちなみに、ベースとなる沖縄そばの麺、スープは、先ほどの①a沖縄そば、(ただの「そば」という事もある)、三枚肉そばと同じです。
④ゆし豆腐そば
「ゆし豆腐そば」です。
具材の「ゆし豆腐」とは、沖縄で広く食べられている豆腐で、完全に固まっていないふわふわの状態の豆腐で、本土の「おぼろ豆腐」のようなもの。
「A沖縄そば」とは、まるっと全てを指すので、「ゆし豆腐そば」も「A沖縄そば」の中の一つの種類です。
ちなみに、ベースとなる沖縄そばの麺、スープは、先ほどの①a沖縄そば、(ただの「そば」という事もある)、三枚肉そばと同じです。
⑤肉野菜そば、野菜そば
「肉野菜そば」です。
「肉そば」「野菜そば」「もやしそば」と呼ばれることもあります。
具材の「肉野菜」は、野菜ちゃんぷるー(野菜炒め)で、豚肉が合わさる場合もあります。
「A沖縄そば」とは、まるっと全てを指すので、「肉野菜そば」も「A沖縄そば」の中の一つの種類です。
ちなみに、ベースとなる沖縄そばの麺、スープは、先ほどの①a沖縄そば、(ただの「そば」という事もある)、三枚肉そばと同じです。
だんだんイメージが湧いてきたんじゃないでしょうか。
「沖縄そば」という呼び方には2種類の意味があって、大きい意味での「A沖縄そば」と、三枚肉とイコールの「a沖縄そば」があります。
基本となる「a沖縄そば」のトッピングが変化し、名称が変わることが理解いただけたんじゃないでしょうか。
A沖縄そば(全体を指す) > 具材などの分類(ソーキそば、ゆし豆腐そば、a沖縄そば(三枚肉)※小さい意味、てびちそば)
2.地域でわける
先ほどは、具材を中心とした「A沖縄そば」の種類を見てきましたが。
「〇〇そば」と言う時、「ソーキそば」「ゆし豆腐そば」「肉野菜そば」の他に、地域で分ける呼び方があります。
沖縄県は大小さまざまな島からできている県で、沖縄本島以外にも石垣島や宮古島などの名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。
それぞれ、「A沖縄そば」も独特の発展をしており、地域ごとの特色があります。
ここでは大きく4つの地域の「A沖縄そば」を紹介したいと思います。
注意したいのは、広い意味での「A沖縄そば」は全てを包括するということ。
A沖縄そば(全体を指す) > 沖縄本島、宮古そば、八重山そば、久米島味噌そば
まるっと「A沖縄そば」があり、分類的に地方のそばがあります。
具と一緒ですね。
①沖縄本島
沖縄本島地方の「A沖縄そば」です。
沖縄本島といっても、それぞれの地域で特性があり、店ごとの個性もあります。
写真は、 明治38年(1905年)創業といわれている現存する最古の沖縄そば屋『きしもと食堂』の「a沖縄そば」です。
沖縄本島内でも、地域の名称を取って「〇〇そば」と呼ばれることはあり、与那原町の「与那原そば」などが有名です。
②宮古そば
スープのベースは、どの地域でも鰹節や昆布、豚で出汁を取っているのは共通しています。
「宮古そば」の特徴がいくつかあり、細く縮れがないストレートの平麺で、スープはあっさりなどが挙げられます。
そして、ルックスの最大の特徴が、具材を麺の下に隠すように置かれること。
その理由には諸説あり、
①具の表面が乾かないようにするため
②「具も乗せられないくらいに貧しい」という風に見せかけて、近所の目や年貢の取り立てに対抗した
③麺を盛り上げて、より量を多く見せようとした
など様々な説があります。
やはり提供する際に具材が分かりにくいのか、宮古島でも、旧来の方法で提供する店は少なくなっており。
沖縄本島でも、「宮古そば」をうたう店はあるものの、この方法は極めて少ないと思います。
石垣島や竹富島、西表島など八重山地方で食べられている「八重山そば」です。
スープのベースは、どの地域でも鰹節や昆布、豚で出汁を取っているのは共通しています。
「八重山そば」の特徴をあげると
①平打ち麺ではなく、丸麺を使用。麺はやや柔らかめ。
②具材は、かまぼこ、豚肉を細切りにして乗せる。
③香辛料として、八重山独特の、「ピパーチ」を用いる。
など。
沖縄本島と比べて、宮古そばも八重山そばも見た目に特徴があって面白いですよね。
④久米島味噌そば
一般的にはまだあまり知られていないと思うのですが、久米島で食べられている久米島味噌を使った「久米島味噌そば」を紹介します。
久米島は水に恵まれた土地で、昔から米や大豆の栽培が盛んだったようです。
豊かな自然を活かし味噌をつくる文化が発展していて、今でも久米島味噌が有名です。
そんな久米島味噌を用いた「久米島味噌そば」が食べられるお店が、島内に数店舗以上存在し、島民に親しまれています。
具材として、島の特産品の「惣慶もやし」を使っているのも特徴で、シャキシャキした食感が魅力のそば。
ちなみに、「A沖縄そば」は、塩や醤油で味付けするのが一般的で、味噌を使うのはとても珍しいです。
沖縄本島やほかの地域でも、まれに味噌味の沖縄そばを提供する店がありますが、これだけ一地域で「味噌そば」が発展したのは、久米島味噌がある久米島ならではだと思います。
3.亜種
沖縄そばの分類方法として、「1.具でわける」、「2.地域でわける」、を見てきました。
だいたいこれだけ知っていれば、沖縄の食堂での注文も困らないと思います。
うどんで言えば、「1.具でわける」のは、きつねうどんや、月見うどんを頼む感覚ですよね。
「2.地域でわける」は、うどんにも、讃岐うどんや稲庭うどんがるような感じです。
先ほどまでの紹介で9割の「A沖縄そば」が該当すると思います。
スープのベースは、鰹節や昆布、豚で出汁を取っていて、沖縄そばの麺を使用しています。
さて、ここからが応用編で。
残り1割ぐらいで、この既存の沖縄そばの枠に収まらない、沖縄そばの「亜種(あしゅ)」、変化系、進化系も存在します。
ベースとなるスープがそもそも異なる沖縄そばをここでは紹介しますね。
①牛そば
牛汁をベースにした沖縄そばです。
一般的な沖縄そばが動物系の出汁を豚で取るのに対して、牛で作られたスープ。
特徴は、パンチ力で、牛独特のコクのあるスープを楽しむことができます。
沖縄そば専門店よりは、牛汁など汁物の専門店や食堂で扱っている事が多いです。
特に八重山地方では、「牛そば」が昔から親しまれていて名店が多いのが特徴。
②鶏そば
鶏をベースにした沖縄そばです。
一般的な沖縄そばが動物系の出汁を豚で取るのに対して、鶏で作られたスープ。
浦添市にある『鶏そば屋 いしぐふー』で食べることができます。
沖縄そばに豚と合わせて鶏で出汁を取ることも多いのですが、この店が鶏のみ。
特徴は、マイルドで円やかな鶏のスープです。
しっとりとした具材の鶏肉は、豚肉とまた違った魅力があります。
③山羊そば
山羊汁をベースにした沖縄そばです。
沖縄では昔から山羊が食べられていて、肉の中で山羊が1番好きという人もけっこういます。
山羊の食べ方は、山羊汁、刺身が多いのですが、「山羊そば」もその一つ。
沖縄そば専門店にはほとんどなく、山羊料理の専門店や食堂で扱っている事が多いです。
特徴はやっぱり山羊の爆発力でしょうか。
クセは強いですが、好きな人にはたまらない一杯。
「山羊そば」が好きになったら、あなたも立派な「沖縄人(うちなーんちゅ)」かも。
④カレー
意外に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、カレーうどんがやカレー蕎麦あるように、沖縄そばにもカレーそばがあります。
多くはありませんが、沖縄そば専門店の中にもカレーそばを提供しているお店があって、人気があります。
中太で、しっかりとした沖縄そばの麺には実はカレーも良く合う。
⑤その他
海老をベースにした沖縄そばです。
久米島の『笑島(わしま)』で食べる事ができる海老そば。
海老の出汁が効いた濃厚な味わいのスープが絶品。
貝をベースにした沖縄そばです。
浦添市の『貝出汁沖縄そばキセキ』で食べる事ができる貝出汁沖縄そば。
豚骨の白濁したスープに貝出汁を合わせた、動物系と魚介系の芳醇な組み合わせ。
ポタージュのようなスープは、滑らかで、旨味がギュッと詰まっています。
4.まとめ
いかがだったでしょうか。
分かりにくい沖縄そばの分類を、私なりにまとめてみました。
「〇〇そば」と聞いてもピンとこないという方は、うどんのように「1.具でわける」、「2.地域でわける」呼び名があって、さらにアレンジとして「3.亜種」があるんだと順番で考えてもらえば良いかなと。
沖縄そばの分類は、地元沖縄でも様々な考え方があり、様々な意見があると思いますが、とりあえず私はこんな理解が良いかなと思っています。
これを機に沖縄そばを理解してもらって、専門店や食堂での注文の際の参考にしていただけたら嬉しいです。
素敵な沖縄そばライフを!
参照
※1 首里そばの沖縄そば(那覇市)
※2 伊豆味そば(本部町)
※3 すずらん食堂(伊江村)
※4 あやぐ食堂のメニュー(那覇市)
※5 しむじょう(那覇市)
※6 和泉食堂(沖縄市)
※7 和泉食堂(沖縄市)
※8 高江洲そば(浦添市)
※9 はつみ食堂(浦添市)
※10 きしもと食堂(本部町)
※11 ひらら(豊見城市)
※12 来夏世(石垣市)
※13 やん小(久米島町)
※14 まんぷく食堂(南城市)
※15 鶏そば屋 いしぐふー(浦添市)
※16 レストハウスかみやま(伊是名村)
※17 笑島(久米島町)
※18 貝出汁沖縄そばキセキ(浦添市)