さんぺいの沖縄そば食べ歩き

沖縄生まれ、沖縄育ち。沖縄そばの食べ歩き日記です。

【沖縄そばの歩き方③】沖縄そばの分類(具で分ける)

ども、さんぺいです。

前回の『沖縄そばの歩き方』第2回では、沖縄そば全体の概要について説明しました。

沖縄そばには、

(A)沖縄そばという麺類全体をまるっとまとめた大きな意味と、
(a)三枚肉、かまぼこ、ネギなど基本形のメニューを指す小さな意味
があること。

「ソーキそば」「ゆし豆腐そば」「てびちそば」「肉野菜そば」などは、大きな括りで全て「A沖縄そば」に含まれる、一つのメニュー
ということが分かったかと思います。

第3回では、沖縄そばの分類方法の一つ、「具で分ける」を詳しく見ていきたいと思います。



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先に、第2回の「沖縄そばの分類方法」を読んでいただくと、より全体像が分かると思うので、是非読んでみてください。




①a沖縄そば、(ただの「そば」という事もある)

  ≒ 三枚肉そば

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沖縄そばの分類(具で分ける)のはじめは、基本の「a沖縄そば」です。

沖縄では、ノーマル、基本となるものを単純に「そば」「すば」「a沖縄そば」と呼んでいます。
具材は、三枚肉、かまぼこ、ネギが基本で、紅生姜が乗るときもあります。

三枚肉が基本となるため「三枚肉そば」とも呼ばれます

三枚肉は、豚のばら肉のことで、赤身と脂肪が交互に三層に重なっていることから「三枚肉」と呼ばれています。
沖縄では、三枚肉単体でもよく食べられていて、伝統行事には欠かせない料理になっています。



「A沖縄そば」と言うと、「ソーキ」を連想する方も多いようですが、沖縄では「三枚肉」が基本で、食堂で「a沖縄そば」を注文すると、だいたい「三枚肉」そばが出てきます。

これは歴史的な経緯もあって、沖縄そばの具材に「ソーキ」が用いられるようになったのは、「三枚肉」よりもずっと後なんですよね。



ここからは、そんなノーマルで基本となる「a沖縄そば」が美味しいお店を紹介したいと思います。

 

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『きしもと食堂』は、明治38年(1905年)創業で、現在営業している沖縄そば屋では最も古いお店です
まさに沖縄そば界のレジェンドで、伝統的な製法で、今もそばを作り続けている貴重な存在です。

『きしもと食堂』のメニューは、ごくごくシンプルで、そば(大)、そば(小)、じゅーしーのみなんですよね。
そして、当然、「そば」を頼むと、三枚肉、かまぼこ、ネギの「a沖縄そば」が出てきます。

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沖縄そば伝説の店『さくら屋』。
その製法を受け継ぐと言われているのが『首里そば』です。

沖縄そば界を代表する『首里そば』もまたメニューはシンプルで、「沖縄そば」の、大、中、小に、煮付けや、じゅーしーがあるのみ。

「a沖縄そば」を頼むと、三枚肉、赤肉、かまぼこ、針生姜の「沖縄そば」が出てきます。
絶品なスープに、手打ち麺に加えて、三枚肉も美味しい。

 

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「三枚肉」は沖縄の伝統的な家庭料理でもあり、沖縄の人なら、「三枚肉」にめちゃくちゃこだわりがあって好みも分かれます。

私は、食堂の「三枚肉」も大好きで、熟練のおばちゃんがつくる「三枚肉」は時に沖縄そば専門店よりも美味しい場合も。

伊江島にあるすずらん食堂』の素朴な「a沖縄そば」は、これぞ私がイメージする通りの「三枚肉」です
厚みがあって最高。



②ソーキそば


「ソーキそば」は、沖縄そばの王様とも言える存在で、沖縄県民にも観光客にも人気です。

「ソーキそば」=「沖縄そば」と思っている方もいるようですが、それは違ってて。
ラーメンとチャーシューメンの関係に例えられると思います。

ラーメン屋さんのメニューで、「ラーメン」はノーマル、「チャーシューメン」は、ラーメンの上位メニューでチャーシューが乗りますよね。

沖縄そばでも、「a沖縄そば」はノーマル(三枚肉、かまぼこ、ネギ)、「ソーキそば」は、上位互換で「ソーキ」が乗るというわけ。

ベースとなる、スープと麺は同じもので、トッピングの違いで「ソーキそば」になるというわけです。



沖縄本島北部の名護市発祥と言われる「ソーキ」を乗せたそばは、ひとつの発明で、大人気になったようですよ。

現在では、沖縄全域で「ソーキそばが親しまれています。



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「ソーキそば」で意識したいのが、「本ソーキ」と「軟骨ソーキ」の違い。



<本ソーキ>

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「本ソーキ」は、固い骨付きのソーキを指します

スペアリブのことで、骨周りのしっかりとした肉の旨味と、ワイルドな食感が魅力です。これぞ、肉という感じ。
沖縄では一般的に「ソーキ」というと、この部位を指すので「本」と付くのかもしれません。

沖縄そば専門店の中では、最も価格が高いことが多く、まさに「A沖縄そば」の王様的な存在。
私にとってもスペシャルな存在で、「本ソーキそば」は永遠のご馳走です。

「本ソーキそば」が美味しいお店がこちら。

 

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1979年創業の『和泉食堂』。
この食堂は、「てびち」の煮付けや煮付けが有名。

「A沖縄そば」も、肉系が美味しくて、「本ソーキそば」も最高。

しっかり味は染みていますが、味つけが濃すぎることもなく、肉の煮込み方も絶妙。
肉を喰らっている、という喜びが感じられる「本ソーキ」です

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『和泉食堂』が豪快な「本ソーキ」なら、『首里ほりかわ』は上品な「本ソーキ」

「a沖縄そば」と別皿で提供される「本ソーキ」は、味の染み方、食感、味つけどれも最高。

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凝ったスペシャル感がある「本ソーキ」も好きですが、飾らない昔ながらの「本ソーキ」も好き。

本島北部を代表する超人気店『宮里そば』のシンプルな「ソーキそば」が好きなんです。
いつ食べても飽きのこない、シンプルイズベストな『宮里そば』。

ここの四角形の「本ソーキ」は、派手さはないけどほんと良いんだよな。

 

 

<軟骨ソーキ>

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「軟骨ソーキ」は、軟骨部分を用いて、長時間煮込むことで、肉と一緒に食べることも可能なもの

特徴は、やはり柔らかいトロトロの食感と、味の染みたお肉

この独特な食感の虜(とりこ)になる方も多く、根強い「軟骨ソーキ」ファンがいます。
柔らかいお肉というのはどの分野でも人気ですよね。

甘辛く煮付けるのが昔は一般的でしたが、最近では塩で上品に仕上げるタイプも増えてきており進化が著しい分野でもあります。

「軟骨ソーキそば」が美味しいお店がこちら。

 

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宜野湾市にある『おきなわそば ヨネハマ』。
この店の「塩軟骨ソーキそば」が美味しい。

「塩なんこつ」と言うだけあって、通常の味付けよりも、塩であっさりと仕上げていて、スープとのバランスがとても良い
トロトロの「軟骨ソーキ」は、今まで食べた中でもベストと言いたいぐらい。
この「軟骨ソーキ」食べるためだけでも行く価値あると思います。

 

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沖縄本島中部を代表する沖縄そば専門店『浜屋』。

一番ぐっときたのは、この「軟骨ソーキ」。
塩ベースでシンプルに味付けされたソーキは、とろとろ。塩梅も良く、肉の芸術品かと思うぐらい旨い
初めての方は「軟骨ソーキ」をお薦めです。




③てびちそば

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「てびち」は、沖縄で広く食べられている豚足の煮付けです

全国的には、豚足に馴染みがない地域もあると思いますが、多くの沖縄県民にとって、「てびち」はご馳走で、大好物です。

沖縄県民あるあるですが、沖縄ではホテルなどの宴会の場で、ビュッフェ形式で、肉料理や寿司、刺身と並んで、「てびち」が提供される事があるのですが。
皆が一番に並ぶのが、ローストビーフでも寿司でもなく「てびち」なんです。
人気の「てびち」はすぐに無くなってしまうからですが、「てびち」行列が出来るのは沖縄ならではの現象だと思います。

このトロトロの食感は、ほかの食材で例えることが難しく「てびち」最大の魅力です
食べればきっと好物になるはず。

「てびちそば」が美味しいお店がこちら。

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沖縄そば以外にも、「てびち煮付け」が有名な食堂。
だから当然、「てびちそば」が旨い。

「てびち」は食感が命ですが。
『和泉食堂』の「てびち」もぷるぷるで、最高の食感
肉は、しっかりめの固さで残しており、食べ応えもしっかり。
煮付けと違って、「てびちそば」は、味付けは抑えめにしていて、沖縄そばとのバランスも凄く良いです。

 

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私の前身のブログ『なごみにいこう』の記事。
是非紹介したかったのが本部町にある『そば屋よしこ』。

個人的ナンバーワン「てびち」かも。
ぷるぷるとろとろと絶妙な煮込み具合。
箸を入れると、骨からすぐ外れるとろとろ具合

味付けは濃いめの店が多い中、『よしこ』の味付けは絶妙な優しい味付け。
スープが繊細だけに、そばの美味しさを壊さない味付けが大切なんです。

 

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那覇市にある人気店『すーまぬめぇ』。
バランスの取れたスープで、「a沖縄そば」自体がすごく美味しいのですが。

特に印象的だったのがてびちの美味しさ。
骨からあっさりと取れる、ほろほろ具合だとか、あくまで控えめな塩の味付けだとか。煮込み方が難しいてびちで、完璧と呼びたいような、食感でした。

 



④ゆし豆腐そば

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沖縄独特の「ゆし豆腐そば」。

「ゆし豆腐」とは、沖縄で広く食べられている豆腐で、完全に固まっていないふわふわの状態の豆腐で、本土の「おぼろ豆腐」のようなものです。

沖縄では、スーパーなどで広く売られていて家庭料理の定番でもあります。

その最大の魅力は、ふわふわとした食感。
これを具材にすることで、豆腐の美味しさ、ふわふわの食感、沖縄そばの旨さが全て合わさった「ゆし豆腐そば」が完成するのです。

「ゆし豆腐そば」が美味しいお店がこちら。

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「ゆし豆腐そば」と言えば『高江洲そば』。
唯一無二の存在です。

私自身もブログの1回目の記事には『高江洲そば』を選びました。

『高江洲そば』のゆしどうふの特徴は、沖縄そばと「ゆし豆腐」の組合せが高度にマッチしている所。『高江洲そば』じゃなきゃ、という美味しさがあるんです。

沖縄そばプラス◯◯といった組合せは、たくさんありますが、意外にも成功例は少ないもの。
と言うのも、沖縄そばに、まんま◯◯を加えると、そば本来の美味しさを壊しがちだから、だと思うんです。

だから、沖縄そばは、麺とスープをプレーンで食べたいと言うそば好きは多い。

『高江洲そば』の「ゆし豆腐そば」は、「ゆし豆腐」、スープ、麺、軟骨ソーキ、各々がそれだけでも美味いのに、相乗効果を発揮して、チームとして完成されている点が凄い

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豊見城市の老舗食堂『海洋食堂』。
食堂としての魅力も最高だけど、特に「ゆし豆腐そば」が旨い。

『海洋食堂』の「ゆし豆腐そば」の魅力は、何と言っても、「豆腐」の美味しさ。
もともとは豆腐屋さんで、今でも、その日使う分の豆腐を毎朝手作りしてるんだそう。

豆腐好きは、よく知っていると思いますが、豆腐は鮮度がとても大事。
沖縄のスーパーでは、豆腐の入荷時刻が決まっていて、入荷に合わせて豆腐を買い求めるほどなんです。

だから、店で手作りしている『海洋食堂』の、ゆし豆腐は絶品なんです。

 

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那覇市首里首里城近くにある『ななほし食堂』。

『ななほし食堂』の特徴が、「食堂」であることに加え、豆腐を自家製で作っている、「豆腐専門店」の一面です。

豆腐は、沖縄では昔、どこの集落でも作られていて豆腐の店が沢山あったそうです。
それぐらい、豆腐は鮮度が命。
その点でも、『ななほし食堂』の「ゆし豆腐そば」が200点なのは、分かりますよね。

ふわふわ食感の豆腐は、口の中ですっと消えていきますが、豆腐の美味しさがしっかり感じられます。
ボリュームがある豆腐ですが、もう永遠に食べていられる旨さ。




⑤肉野菜そば、野菜そば

okinawasoba.hatenablog.com沖縄で、「肉野菜そば」とは、「野菜そば」、「肉そば」とも表記される、「A沖縄そば」の1ジャンルです。

通常の「a沖縄そば」に、肉野菜炒めをオンするというもの。
多くの沖縄そば専門店や、食堂の定番メニューとなっています。

「肉野菜そば」の魅力は、そのボリューム、見た目のインパクト、野菜も摂れる合理性に加え、なんと言っても「混然とした美味しさ」です。

そのポイントは、肉、野菜、そば、スープが混然となった美味しさだと思います。
スープに溶け出した、野菜炒めの汁が、より濃厚なスープの旨味を生み出し、「a沖縄そば」単体では出せない魅力が、「肉野菜そば」にはあります

「a沖縄そば」、繊細で上品な美味しさを追求する料理なら、「肉野菜そば」にはジャンクな料理。
肉を喰らい、野菜をかきこみ、麺をワシワシと食べる
B級グルメに必要なジャンク感が、「肉野菜そば」にはあります。

「肉野菜そば」が美味しいお店がこちら。

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沖縄食堂の中でも創業50年を超えるレジェンド『みどり屋食堂』。

容赦ない山盛りの肉野菜炒めが乗った「肉そば」
想像以上の山盛りに思わず緊張感が走る。


シャキシャキのキャベツにもやし、玉ねぎ、にんじんなど、豚肉とポーク。
肉そばと言うだけあって『みどり屋食堂』は豚肉多めの仕様。
食べても食べてもなくならない豚肉は、ボリュームあり。

野菜炒めの汁が溶けだしたスープは、茶褐色となり、たまらない旨さに

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40年以上続く歴史ある『はつみ食堂』。
器からはみ出しそうな、肉、野菜、麺が印象的な「肉そば」。

この野菜炒めに豚肉と合わせてそばを啜れば、至高の時間
徐々に肉と野菜の旨味が染み込んでいったスープは、尖ったところがなくて、とにかく優しい味わいで。
油濃くなく、味つけもすごく優しい。
いつのまにか、この味の虜になってしまいました。

感動的に美味しい「肉そば」。

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北部地域の中でも、私が最も好きな食堂のひとつ『おおぎみ食堂』。

「肉野菜そば」のポイントは、野菜の炒め方、味つけ、具材など、野菜炒めの美味しさにあるのですが、『おおぎみ食堂』は熟練の食堂だけあって、120点叩き出してる。

他の店と比べて、かなりニンニクスライスが入っていて、味つけに胡椒も加わっています。
だからパンチがしっかりあって食べ応えがある肉野菜炒め

この汁が沖縄そばのスープに溶け出していくと・・・得も言われぬ美味しさに

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「肉野菜そば」系で、沖縄で最も有名な店と言えば大宜味村の老舗『前田食堂』。
もやし炒めが乗った沖縄そばで思い出すのはまずこの店です。

山盛りのもやし炒めに牛肉、これに胡椒をめちゃくちゃ効かせるのが『前田食堂』流。
パンチがのある牛もやし炒めに、麺が進む。

さらに、途中からこの牛もやし炒めのエキスがスープに溶け出していき、力強いジャンクな味わいに。
牛もやし炒め、沖縄そば麺、エキスの溶け出したスープ、混然一体の旨さが魅力です。