ども、さんぺいです。
だんだん沖縄そばメニューの「呼び方」の違いが分かってきたのではないでしょうか。
第4回の『沖縄そばの歩き方』では、沖縄そばの分類方法の2つ目。
地域毎に分けるを詳しく説明したいと思います。
まだ第2回を読んでいない方は、先に第2回を読んでいただくのをお薦めします。
沖縄そばのメニューには、具材を中心とした呼び方があって。
「〇〇そば」と言う時、「ソーキそば」「ゆし豆腐そば」「肉野菜そば」などと呼ばれます。
基本のスープと麺は同じで、トッピングによって名称が変わる感じですね。
これらを総称して、まるっと「A沖縄そば」といいますが、食堂で注文する時の「沖縄そば」は、狭い意味での「a沖縄そば」で最も基本的な、三枚肉、かまぼこ、ネギが乗ったものが出てきます。
具材を中心とした呼び名とは別に、地域毎の「沖縄そば」を指す場合があります。
うどんで言うと、ご当地のうどんみたいなものですね。
同じうどんでも、讃岐うどんや、稲庭うどんなど、各地で特色があると思いますが、「A沖縄そば」にも似たような感じでご当地「沖縄そば」があります。
特に沖縄県は、47の有人島から綯っており、各島々で独自に発展した「沖縄そば」があります。
ここでは大きく5つの地域の「A沖縄そば」を紹介したいと思います。
注意したいのは、広い意味での「A沖縄そば」は全てを包括するということ。
A沖縄そば(全体を指す) > 沖縄本島、宮古そば、八重山そば、久米島味噌そば、大東そば
まるっと「A沖縄そば」があり、分類的に地方のそばがあります。
地域ごとの分類を見ていきましょう。
①沖縄本島
沖縄そばが一般に広く食べられるようになったのは明治期です。
那覇が発祥と言われており、中国の料理人がつくる「志那そば」を原型に、沖縄の風土に合わせて沖縄そばが発展していったと考えられます。
那覇や首里から沖縄そばが広がっていき、やがて沖縄本島全域、さらに離島へも普及していきました。
沖縄本島の中でも様々な沖縄そばがあり、店によっての違いが大きいのですが、大きく沖縄本島の中南部と、北部で違いが見られます。
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戦後の沖縄で、昔ながらの製法を残しながらそば作りを行っていた名店『さくら屋』。
その『さくら屋』の味を引き継いだと言われているのが『首里そば』です。
店によっても異なりますが、本島中南部の沖縄そばは、中太の平打麺が主流。
平打麺とは、四角くなっている角のある麺ですね。
鰹節と豚で出汁を取り、塩で味付けをしたシンプルな「a沖縄そば」で、首里の昔ながらの「あっさり」としたスープになっています。
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本島中南部にある『高江洲そば』。
「A沖縄そば」を代表する「照喜名製麺所」の麺を使っていることで有名です。
写真を見ていただけると分かると思いますが、麺は中細の平打ち麺で、細かく縮れが入っています。硬めの食感も特徴的。
縮れが入った麺は、中南部の沖縄そばの特徴のひとつです。
<沖縄本島北部>
沖縄本島北部の名護市、大正12年創業の老舗の沖縄そば屋『新山食堂』。
写真を見ていただくと分かると思いますが、麺が太い。
中南部と同じように、角のある平打ち麺ですが、すごく幅が広いんですよね。
「きしめん」のような麺で、幅が広く、厚みは薄く、ピロピロな食感が特徴的です。
柔らかめの麺ですが、これが優しい『新山食堂』のスープに合っていて美味しい。
中南部の沖縄そばとは全く方向性が違うそばです。
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名護市にある1973年創業の『八重食堂』。
スープがやかんで提供されるスタイルが有名なお店。
ここもやはり、幅広の麺です。
名護市を中心に、北部地域ではこの幅広の麺が食べられています。
中細の硬い麺も良いですが、幅広な麺ならではの食感があって私は大好き。
沖縄そばの奥深さを感じます。
nagominiikou.ti-da.net
「ソーキそば」発祥の店のひとつとも言われている『丸隆そば』。
58号線を北上すると、名護市の入口に『丸隆そば』があったのを覚えている方もいるんじゃないでしょうか。
『丸隆そば』の麺も、北部ならではの幅広の麺。
『新山食堂』ほど幅はないですが、やはり中南部の麺と比べて薄くて幅広な印象です。
②宮古そば
宮古島など宮古地方で食べられている「宮古そば」です。
「宮古そば」の特徴はいくつかあり、細く縮れがないストレートの平麺で、スープはあっさりなどが挙げられます。
そして、ルックスの最大の特徴が、具材を麺の下に隠すように置かれること。
その理由には諸説あり、
①具の表面が乾かないようにするため
②「具も乗せられないくらいに貧しい」という風に見せかけて、近所の目や年貢の取り立てに対抗した
③麺を盛り上げて、より量を多く見せようとした
など様々な説があります。
理由を想像してるのも面白いですよね。
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ちなみに、宮古島だけでも相当な数の「宮古そば」専門店があり、「宮古そば」のガイドブックが売られているほど。
沖縄本島の沖縄そば専門店だけでもかなりの数がありますが、離島の沖縄そばも含めると、沖縄そばの世界はまさに「沼(ぬま)」と言えそうです。
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私自身、「宮古そば」の世界はまだまだ勉強中で、ほとんど宮古島の「宮古そば」の店を回ることができていないのですが。
お薦めするなら『古謝そば屋』。
1932年(昭和7年)創業という、沖縄そば界の中でも老舗で、宮古そばを代表する有名店です。
「宮古そば」の特徴は、中細ストレートの麺。
『古謝そば屋』は、店オリジナルで、『古謝製麺所』として、沖縄全県でも流通する宮古そば麺を出荷しています。
スープは鰹節主体で、あっさり。
後味のスッキリさが特徴で、甘味がじわーっと広がる、永遠に飲んでいたくなるようなスープです。
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沖縄本島で食べられる「宮古そば」のなかで、具を麺の下に隠すオールドスタイルを貫いているのが『田舎 泊店』。
実は本場宮古島でも、旧来のスタイルで提供する店は少なくなっているんです。
私は個性があっていいなと思うのですが。
価格も手ごろで、「宮古そば」の昔ながらのスタイルで食べてみたいという方にお薦めです。
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ほかに、沖縄本島で具を麺の下に隠すオールドスタイルの「宮古そば」を食べる事ができるのが豊見城市にある『ひらら』。
インスタ映えが叫ばれる時代に、あえてメインの具を見せない。
むしろそれこそ個性があって良いじゃないですか。
個人的には、地域のオリジナリティが大切だと思っているので、「宮古そば」のスタイルが残っていってほしいなと思ってます。
石垣島や竹富島、西表島など八重山地方で食べられている「八重山そば」です。
スープのベースは、どの地域でも鰹節や昆布、豚で出汁を取っているのは共通しています。
「八重山そば」の特徴をあげると
①平打ち麺ではなく、丸麺を使用。麺はやや柔らかめ。
②具材は、かまぼこ、豚肉を細切りにして乗せる。
③香辛料として、八重山独特の、「ピパーチ」を用いる。
など。
沖縄本島や「宮古そば」が長方形の平打麺なのに対し、「八重山そば」は丸麺なんです。
なので、口当たりがとても優しい。
具を細切りで提供するのも独特。
かまぼこや豚肉を同じ大きさで細切りで具材としています。
「ピパーチ」「ピィパーズ」「ひはち」などと呼ばれる八重山地方独特の香辛料。
沖縄本島ではほとんど食べる機会がない「ピパーチ」。
私も普段、使う機会はなく、石垣島へ行った時や、沖縄本島の「八重山そば」で見かける感じです。
コショウ科ですが、刺激的な味というよりも、香りづけの要素が大きい気がします。
私は、シナモンに近い印象があって、「八重山そば」に独特の風味が加わっていっそう美味しく感じます。
「八重山そば」を食べる時は、是非利用してみてください。
yasoba.ti-da.net
「八重山そば」は、石垣島、竹富島、西表島、与那国島など八重山地方の島々で広く食べられていて、沖縄本島同様に専門店の数もかなりあります。
「すば」さんがやられている「八重山そばのブログ」が素晴らしくて、読んでいただきたいのですが、ブログでも「八重山そば」のお店がこんなにあるんだと分かるはず。
私の夢は、沖縄そば屋全軒制覇ですが、これはまた夢のまた夢のような・・・。
okinawasoba.hatenablog.com「宮古そば」同様に「八重山そば」の世界もまだまだ勉強中で、石垣島のお店も数回いったことがあるぐらいです。
お薦めするなら『来夏世(くなつゆ)』。
麺は、「八重山そば」特有の、丸麺ストレートの中麺。
麺自体がしっかり美味しいです。
スープは、スープは動物系、豚骨をベースに鰹節の出汁。
上品な味で、あっさりしているけど、出汁の旨みがすーっと伝わってくる絶妙なスープです。
具材は、「八重山そば」定番の、豚肉とかまぼこの細切りでかまぼこも美味しい。
石垣島へ行ったら必ず食べたくなる味です。
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石垣島の中心市街地にある市場『ユーグレナモール』の入口近くにある八重山そば専門店『ゆうくぬみ』。
丸麺ストレートの麺に、鰹節の出汁が効いたスープ。
スーッと身体に染み渡っていくようなスープでした。
豚肉もかまぼこも、この細切りのサイズ感が良くて、ペロッと食べられて、もう一杯いきたくなるような食べやすさ。
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沖縄本島だとなかなか食べられない「八重山そば」ですが、いくつかお店が存在します。
那覇市前島にある『八重山そば ジュネ』もその一つ。
石垣島出身の一家が作る「八重山そば」の店で、なんと創業47年になります。
激戦区の那覇で、これだけ長く愛されているのは実力の証。
八重山まで行くのが難しいという方は、本島内の「八重山そば」屋巡りをするのも良いかも。
④久米島味噌そば
一般的には、沖縄そばのご当地そばとしては「宮古そば」「八重山そば」が有名だと思います。
まだあまり知られていないと思うのですが、久米島で食べられている久米島味噌を使った「久米島味噌そば」を紹介します。
久米島はも水に恵まれた土地で、昔から米や大豆の栽培が盛んだったそう。
そのため、豊かな自然を活かし味噌をつくる文化が発展していて、今でも久米島味噌が有名です。
久米島のお土産に「みそクッキー」をもらった事がある方もいるのでは。
そんな久米島味噌を用いた「久米島味噌そば」が食べられるお店が、島内に数店舗以上存在し、島民に親しまれています。
具材として、島の特産品の「惣慶もやし」を使っているのも特徴で、シャキシャキした食感が魅力のそば。
ちなみに、沖縄そばは、塩や醤油で味付けするのが一般的で、味噌を使うのはとても珍しいです。
沖縄本島やほかの地域でも、まれに味噌味の沖縄そばを提供する店がありますが、これだけひとつの地域で「味噌そば」が発展したのは、久米島味噌がある久米島ならではだと思います。
<補足>
久米島は、島内に「久米島そば加工所」などの製麺所があり、島内でも麺製造を行っています。
島内では、一般的な塩、醤油ベースの沖縄そばが「久米島そば」として親しまれています。
そのため、当ブログでは久米島のオリジナル性が高い「味噌」を使った沖縄そばを区別して「久米島味噌そば」として分類しました。
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古民家を用いた雰囲気のある『やん小(やんぐゎー)』。
ここで、久米島味噌と久米島特産のもやしを使った「久米島味噌そば」が食べられます。
メニューは、基本の「三枚肉そば」に、「もやしそば」、「島味噌もやしそば」、「ピリ辛味噌もやしそば」の4種類。
「島味噌もやしそば」は、山盛りのもやしが印象的。
「味噌」と聞くと、こってりとしたイメージを持ちますが、油はなくもっとサラッとしたスープ。
ベースとなっているスープは、鶏と豚骨、鰹と昆布で取っているそう。
味噌の旨みが加わって、本当に美味しいスープに仕上がっています。
特に、後半、もやし炒めのニンニクが味噌スープに合わさって、旨味の二重奏、三重奏というような美味しさがあって、「もう、堪らん」です。
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久米島のイーフビーチ近くにある『パーラースリーピース』。
沖縄そばは、基本の「久米島そば」に、アーサが乗った「アーサそば」、「ピリ辛味噌そば」があります。
「ピリ辛味噌そば」は、名前の通り、辛さが効いた一杯。
ひと口スープを啜った瞬間に、ラー油系のピリッとした辛さが舌を刺し、パンチの強さを感じます。
味噌のコクはありますが、濃厚というよりもサラッとした後味でしつこさはなし。
どんどん飲み進められます。
山盛りのもやし、さらに挽き肉もしっかり入っておりボリュームたっぷりで満足感のある一杯。
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『ゆくい処 笑島』の「車海老そば」はシンガポールで開かれた「にっぽんの宝物」世界大会でグランプリを獲得した一杯です。
『笑島』では、基本の三枚肉そば、軟骨ソーキそばに加えて「車海老そば」を販売しています。
この「車海老そば」が絶品。
久米島特産の車海老を用いたそばですが、具として車海老を乗せるだけでなく、スープも車海老から取ってるんです。
なので超濃厚な旨みがギュッと詰まったスープ。
久米島特産の味噌を用い、エビの頭やガラからも出汁を取り、ごま油、豆板醤を合わせているんだそう。
こちらも久米島産のもやしは、瑞々しくシャキシャキとしていて濃厚なスープに清涼感を与えてくれます。
⑤大東そば
ritohaku.okinawastory.jp
南大東島は、那覇から飛行機で約1時間、船だと約15時間かかる離島です。
固有の歴史を持ち、沖縄県の中でも特に個性的な文化を持つ自然豊かな島。
そんな南大東島で親しまれているのが「大東そば」。
その存在はメディアにも何度も取り上げられていて、沖縄県民だけでなく、ひろく全国的にも知られています。
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残念ながら私はまだ、現地南大東島で「大東そば」を食べたことがないのですが。
沖縄本島で食べれる「大東そば」として有名な『元祖 大東そば』を紹介したいと思います。
パラダイス通りにある店が有名でしたが、昨年、浮島通り店に移転しました。
特徴的なのが、極太の麺。
私が食べてきた中でも、最大級だと思います。
手打ちの生麺で、コシがありながら、固いわけではなくむしろ、もっちりとした食感が美味しい麺。
見た目の凶暴さに比べて、すごく優しい印象です。
スープは豚骨をベースに魚介系の出汁も合わさったもの。
旨味はしっかりありながら、濃厚というよりもサラッとしたスープ。
麺との相性はもちろん抜群です。
めちゃくちゃ厚い三枚肉もインパクトあります。
ひちくちに沖縄そばと言っても、それぞれの島で独自に発展しており「大東そば」はまさにここでしか食べられない他と全く違う沖縄そばになっています。