ガイドブックに載らない沖縄そばの有名店の話をひとつ。
沖縄そばは、家庭で食べられているのはもちろん、多くの専門店があります。
沖縄県民なら、推しの沖縄そば屋が必ずあり、「どこどこの沖縄そばが美味い!」は、定番のトークでもあります。
そんな沖縄そばの専門店ですが、観光ガイドブックには載らない、有名店が実はあります。
それは、飲み屋街にある沖縄そば屋。
飲んだ〆に、ラーメンが定番なように、沖縄そばもまた、沖縄県民にとって〆の定番なんです。
だから、有名な飲み屋街には、必ず沖縄そばの隠れた名店があるんです。
場所は、通称小禄新町。
那覇市小禄宇栄原に昔からある飲み屋街で、栄町やみどり街と同様に、昔からのスナックあり、新しいスナックビルあり、猥雑とノスタルジーが混ざり合った街の雰囲気は、かなり自分好みです。
私はこれまで、訪れたこともなかったのですが、飲み好き友人の勧めで、はじめて小禄のスナックへ飲みに行きました。
小禄の夜は楽しく過ぎていき、時計は深夜2時過ぎ。そこで出会ったのが『松そば』です。
飲み屋街の一角にある、その沖縄そば屋は、おそらく旅行雑誌のそば紹介に絶対に載らないであろう1軒。
というのも、営業時間は、23時オープンで、朝までの営業なんです。
夜営業の店はいくつか知っていますが、それもかなり遅い方ですね。
そんな、知る人ぞ知る店なのですが、友人いわく、小禄新町で飲んだ者は、必ず訪れるという超有名店らしいのです。
確かに、深夜2時をまわってスナックを出ると、『松そば』に吸い込まれるように、次々と客が入っていくではないですか。
私も友人に連れられ、『松そば』へ。
店は通りに面した平屋で、看板も大きいのですぐに分かるはず。
店内は、やや年季が入った感じで、こちらもかなり好みです。
女将さんが一人で営業されていますが、調理から会計まで手際よくさばいていく姿は、素敵でした。
外見よりも、中は奥行きがあり、カウンター席から奥の座敷席まで、けっこうな人数が入ります。
そして、店のメニューが特徴的。
看板メニューが、牛の中味そばなんです。
豚のホルモン、中味そばは、沖縄でも一般的ですが、牛汁しかも、ホルモンを使ったそばは珍しい
私は初めて出会いました。
ノーマルな沖縄そば、牛中味汁も注文可ですが、ここはもちろん牛中味そば800円を注文。
何度もくり返しますが、この時深夜2時すぎ。
初めて食べる牛の中味そば。
たっぷりの牛汁に、そば、そして綺麗な牛のホルモンに、にんじんも載っています。重厚感が凄い。
ホルモンは見た目も綺麗で、下処理がきちんとされているのが、わかります。
まずスープ。
牛の中味汁だけあって、豚よりもさらにパンチが効いた味わいです。
通常の沖縄そばではまず無い、濃厚といって良いスープ。
これに合わせる麺は、やや太めの麺。
具や、スープに負けてないしっかりした麺です。
そして、メインの牛ホルモン。
あまり食べる機会がないですが、魅力である食感はさすが。
こりこりや、とろとろ、食感が楽しめます。
深夜2時に食べるには、あまりにパンチの効いた一杯ですが、存在感では間違いなく群を抜いている『松そば』の牛中味そば。
これは、クセになるのは分かります。
ガイドブックに載らなくても、しっかり呑兵衛に愛される名店があるんだなと。
沖縄そばの奥深さを感じた一杯でした。
まーさん。