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『沖縄そば問題』の第7回。
このテーマは、沖縄県民の間で必ず論争になる、沖縄そばに関わる話題を取り上げています。
今回も、そばじょーぐー(沖縄そば好き)の間でも必ず意見が分かれるテーマの一つ。
「沖縄そばなら、どの麺が好き?」。
スープの鰹出汁と豚骨出汁のように、麺の種類も、好みの沖縄そばを決定づける大きな要因です。
沖縄人(うちなーんちゅ)なら、必ず沖縄そばの麺には、こだわりを持っているもの。
本当に好みが分かれるテーマです。
沖縄そばの定義の一つとして沖縄生麺協同組合のHPが、参考になるので、そもそも「沖縄そば」って何?という方はこちらを参考に。
沖縄そばの麺の分類は、色々な方法がありますが。
(1)製法
(2)生麺/茹で麺
(3)太さや縮れなど形状
の三段階に分けて考えると良いかなと。
(1)製法
まず、製法としては、店独自で麺を作っている「自家製麺」、専門業者が作る「製麺所の麺」に大別されます。
さらに「自家製麺」の中でも、「手打ち」と「機械製法」があり。「自家製麺」の中でも、「かん水」の代わりに「木灰汁」を用いて麺を作るのが伝統的な手法になっています。
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「手打ち麺」は、お店でイチから手打ちで作っていくというもの。
強いコシがある麺など特徴ある麺が多いです。
「機械」を用いた「自家製麺」も、同様に店でオリジナルの麺を作るものです。
伝統的な沖縄そばは、各店で麺が作られており、今では貴重な存在です。
「自家製麺」の特徴としては、風味やコシ、食感など、店が持つイメージを具体化して、他で食べられない麺を提供できる点などがあります。
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一方、沖縄そばの専門店でも一般的なのは、「製麺所の麺」。県内でも多くの製麺所があり、色々な種類の麺を卸しています。
ポイントは、「自家製」や「手打ち」だから「製麺所」よりも、即美味しいとは限らないこと。
沖縄そば専門店で作る「手打ち麺」や「自家製麺」は希少性や、オリジナリティはもちろんありますが、広く量販されている「製麺所の麺」はレベルも高く、ファンも沢山います。
「自家製」にも「製麺所の麺」にも、それぞれの良さがあるので、食べ比べするのが楽しいかなと思います。
(2)生麺/茹で麺
次は、「生麺」を用いるのか、「茹で麺」を用いるのか。
そもそも元来の沖縄そばは、湯掻いた麺に油をまぶし保存するのが一般的です。
今でも、スーパーで販売されている麺は、ほとんどが「茹で麺」ですし、専門店でも「茹で麺」を用いている所が多いです。
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一方、最近では「生麺」を用いて、オリジナルな麺を提供する店も増えてきています。
「生麺」の魅力は、やっぱり独特の食感でしょうか。
(3)太さや縮れなど形状
最後は、麺の太さや、縮れの入り方、長さなど形状です。
これについては、「手打ち」「自家製」麺も、「製麺所の麺」も様々な種類のものがあります。
太い麺から、細い麺、強く縮れが入ったものから、ストレートの麺まで。
ちなみに、麺の太さなどには、沖縄県内でも地域性があります。
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【A】沖縄本島の麺
様々なものがありますが、一般的に平打の麺で、軽くウェーブがかかった麺。
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【B】沖縄本島北部の麺
幅広の平打麺で、太麺。太麺が独特の食感を生み出します。
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【C】宮古地方の麺
細麺で、ストレート。喉越しの良い麺。最近は、本島でも人気のタイプ。
※⑧
【D】八重山地方の麺
丸麺が特徴で、細めの麺。角がないので柔らかい印象。
それぞれ、食感や、啜った時の印象、飲み込む時の感じなどに違いがあり。
これはもう本当に好みの世界です。
(1)製法
(2)生麺/茹で麺
(3)太さや縮れなど形状
沖縄そばの店を選ぶ時には、この3つの情報を理解していると、自分の好みが分かってくるんじゃないでしょうか。
最後に、麺に特徴がある沖縄そば屋を紹介しますね。
麺のタイプから好きな沖縄そば屋を探してみるのも良いんじゃないでしょうか。
【首里そば】
昔ながらの技法で作られている麺。
歯応えや風味、麺自体に美味しさがあります。
【きしもと食堂】
創業明治38年。現存する沖縄そば屋では、最も古い歴史ある麺が食べられます。
【沖縄そば 峰】
昨年オープンした新進気鋭の店。新しい試みが沢山あり、麺についても沖縄そばの未来系が感じられます。
まだまだ沢山紹介したいのですが。
とにかく、沖縄そばの麺は、一見どれも同じように見えて、全然違う。めちゃくちゃ奥が深い世界です。
最後は、とにかく自分の好みなので。
時間をかけて、自分好みの麺を見つけましょう。
あなたは、「沖縄そばなら、どの麺が好き?」
〈注釈〉
①沖縄そばを代表する名店『御殿山』。木灰汁を用いた自家製麺。
②『ちょーでーぐぁ』の手打ち・生麺。
③『玉家 前田店』。人気の製麺所「亀浜製麺」の麺。沖縄では非常にファンが多い麺。
④『てぃあんだー』の自家製・生麺。
⑤『あやぐ食堂』。本島中南部のメジャーな中麺。
⑥『新山食堂』。本島北部の幅広な平麺。
⑦『美里そば』で用いられている亀浜製麺の麺も、宮古そば風の細麺ストレート。
⑧『宮良そば』。八重山そば独特の丸麺。