さんぺいの沖縄そば食べ歩き

沖縄生まれ、沖縄育ち。沖縄そばの食べ歩き日記です。

新山そば(新山食堂) 2 100年続く沖縄そば界のレジェンド

ども、さんぺいです。

今回は、100年続く沖縄そば界のレジェンド『新山そば(新山食堂)』を訪問しました。



大正14年(1925年)創業といわれており、『きしもと食堂』と並んで現存する沖縄そば屋の中では古い歴史を持ちます。

沖縄そばは明治後期に那覇を中心に発展し、早い段階で沖縄各地で食べられるようになったことが分かっており、名護でも1908年には『梅屋』が開業しています。

その流れを汲むのが『新山そば』。



図書『すばやー物語2』によると、名前の由来は、昔、名護を拠点にしていた新垣バスの専務をしていた山入端さんがはじめたからなんだそう。
「新」と「山」を取って、「新山そば」というわけ。

なんと、沖縄本島北部地域を代表する幅広の平麺も『新山そば』から広がったそうで、沖縄そばの歴史にとって非常に重要なお店です。




場所は、名護十字路からほど近い、住宅地の奥まった場所にあります。

道は小さく、一方通行が多いのでナビの使用がお薦め。

店舗横に駐車場が用意されています。



瓦屋根のなんとも味のあるお店。

初めて訪問したのは30年近く前、私はまだ学生でした。

あの頃と変わらない雰囲気がそのまま残っているのが嬉しい。



店は飾らず気取らず、地元のお客さんがフラッと寄れる気軽さを保っています。

サイン色紙が壁一面に。



壁や椅子、テーブル、建物全体に歴史が染み込んでるような気がします。



注文は食券制です。

メニューは、三枚肉そば、本ソーキそば、てびちそばが基本。
全部載せ的な「新山そば」が人気です。

サイドメニューに、ジューシーも加えて昔ながらのいなりもあるのが良いですね。



そして、『新山そば』と言えば、昔からてびちが有名。
今回はてびちそば880円をいただきました。

まず、器一面のてびちに驚き。
その姿は圧巻です。

今まで沢山てびちそばを食べてきましたが、この貫禄すごいですね。



スープは、豚と鰹をメインに出汁を取っていて、見た目の印象よりもずっとあっさり。

尖ったところがなく、優しい味わいで、じわじわくる美味しさ。

鰹の出汁もガツンとくる感じではなくあくまで主張は控えめで、後からコクも感じられます。

醤油が少しありますが、味付けも穏やか。

最近の派手な沖縄そばとは真逆のシンプルかつ穏やかな沖縄そばでした。



麺は、『新山そば』から広まったという平麺。

昔はお店で作っていましたが、現在は北部を代表する製麺所『三角屋製麺所』に製造を依頼しているそうです。

写真で、幅の広さが伝わるでしょうか。

沖縄そば界の中でも、最も幅広と思われる特徴的な麺。



きしめんのような形状で、これが独特の啜り心地を生み出します。

ただし、きしめんほどもっちりしておらず、うどんとも違う、茹で麺である沖縄そば独特の食感なんです。

最近では、沖縄そばも硬めがトレンドですが、また別ベクトルの美味しさ。
ぷり感や、もち感を追求する生麺とも一線を画す麺です。



ゴロゴロと入ったてびち。

整った見た目で、ルックスも美しい。

一見濃そうに見えますが、食べてみると味付けはごく控えめ。

黒糖と一緒に煮込まれているそうで、柔らかく、ぷるぷるというより、ねっとりといった食感が堪りません。

穏やかで、自然な味付けなのでいくらでも食べられます。



そして、てびちと一緒に入っている、チキナー(からし菜)。
少しの辛みのある青菜が、すごく良いアクセントになっていて、てびちとの組み合わせは最高。

これもまた北部らしい、結び昆布。
しっかり味付けされていて歯応えがあります。
昔ながらの味ですね。

三角の厚揚げも『新山そば』のチャームポイント。



お腹に余裕があれば是非食べていただきたいのがジューシー。

沖縄そば同様に、味付けは濃すぎず、出汁の美味しさが効いています。

具は、ひじき、にんじんなどシンプルに。
ネギが沢山なのも嬉しいですね。



穏やかなスープに平麺、てびちが織りなすハーモニー。

最近の流行りのように、味を重ねてインパクトを出す沖縄そばも良いけれど、あらためて昔ながらの沖縄そばの良さを感じました。

滋味があって自然に身体に沁み込んでいくようなスープ。

決してノスタルジーじゃなく、今食べて美味しい沖縄そばだと思います。

 

 

 

【名護市の沖縄そば一覧】

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