【あやぐ食堂全制覇への道】
人生で、ささやかな夢って、誰しもあると思います。
ハリウッド俳優になりたいとか、3億円当てたいとか、そんなんじゃなくて。
ケーキを1ホール食べてみたいとか、憧れの場所へ行ってみたいとか、出来そうなんだけどやってないやつ。
自分の以前からの夢で、沖縄そばの食べ歩きもそうなんですが、那覇市首里の『あやぐ食堂』のメニューを全制覇してみたいっていう願望があって。
これは今やっとかないと、きっと後悔すると思い、企画を立ち上げました。
沖縄そば食べ歩きとは少しズレますが、沖縄の名物食堂の記録と記憶を残したい、さんぺいの夢の実現に付き合ってもらえたら嬉しいです。
<『あやぐ食堂』の過去記事>
ども、さんぺいです。
『あやぐ食堂』閉店のニュースを聞いてから、できるだけ通おうと思っているのですが。
常連さんの想いも同じようで。
色々な方に『あやぐ食堂』で会うことがあります。
この日も偶然、『首里そば』のご主人仲田さんとお会いし、同席しました。
私は「沖縄そばさんが好きな沖縄そば」に興味があって。
失礼ではあるのですが、仲田さんに自分の店以外で好きな沖縄そばを訪ねた時に、『あやぐ食堂』と答えていたんです。
あの名店の主人が『あやぐ食堂」の「そば定食」をよく食べていると聞いて嬉しくなった記憶があります。
この日も仲田さんは、美味しいそうに『あやぐ食堂』の「そば定食」を食べていて、これもまた一生の思い出になりました。
いつもの何気ない風景だけど、残り期間が少ないと思うと写真に収めたくなります。
座敷の感じや、テーブル、椅子、全てに愛着がある。
貼り紙を見て、また悲しくなる。
30回目の「あやぐ食堂全制覇への道」、頼んだのはこれ、「てびち煮付」です。
お値段980円。
これもまた、『あやぐ食堂』の人気メニューの一つです。
「てびち」もだいぶメジャーになったので、ご存知の方も多いかなと思いますが。
沖縄の郷土料理で、豚足を煮込んだ料理です。
豚肉大好きな沖縄県民ですが、ソーキや三枚肉と並んで「てびち」は特に人気が高い料理。
沖縄の宴会では、真っ先に「てびち」が無くなると言われるぐらい、人気なんです。
その魅力は何と言ってもトロトロ、プルプルの食感。
「てびち」独特の口の中で溶けていくような食感は、他では味わえないものです。
『あやぐ食堂』の「てびち煮付」でまず驚いたのは、その中身。
「てびち」単品をいイメージしていたのですが、野菜や豆腐、昆布などが入ったバラエティに富んだ一皿でした。
もちろん、「てびち」もどっさり入っています。
メインの「てびち」。
沖縄では、家庭でもお店でもオリジナルな味付けや煮込み方があり、かなり好みが出ます。
『あやぐ食堂』はさすが熟練の食堂。
食感も味付けも、最高でした。
ぷりぷりで柔らかく、箸で骨から外せるぐらいで、、口の中でとろけるような食感は至福。
味付けは優しく、濃すぎないのでいくつでも食べられます。
ボリュームもしっかりあるので「てびち」好きには堪らない逸品。
ドカンと乗った、大ぶりの島豆腐(沖縄の木綿豆腐)。
豆腐好きとしてはこれも嬉しい。
固めの豆腐なので食べ応えがしっかりあって、野菜などとも相性抜群です。
味の良く染みた葉野菜。
このクタッとなった感じが良いんですよね。
味付けはあくまで優しく、出汁の美味しさが効いています。
ニンジン、大根、カマボコも入っています。
ご飯が何杯でもいけそう。
他に、結び昆布も入っています。
沖縄では昆布を食べる習慣があって、煮込みの定番でもあります。
独特の食感があって、よく味も染みていて、こちらも美味でした。
煮付けとライスの永遠のループ。
今回はほんとに、何杯でもご飯がいけそうでした。
お代わりはしなかったけど。
正しく味噌汁。
とろとろの「てびち」に、味染みの葉野菜、大根、島豆腐。
沖縄の人なら間違いなく好きであろう、最高な一皿でした。
バラエティに富んだ食材で、これだけ贅沢な一皿もなかなか無いですよね。
もうほんと、煮付の宇宙をさまよう気分。
『あやぐ食堂』は、どの料理もパンチと家庭の味のバランスが絶妙なのですが、「てびち煮付」の優しい味わいも好みでした。
この「てびち煮付」がもう食べられないなんて、あらためて悲しくなります。
急速に失われていく、沖縄の食堂文化。
味をどうにかして残していきたいな。