さんぺいの沖縄そば食べ歩き

沖縄生まれ、沖縄育ち。沖縄そばの食べ歩き日記です。

【沖縄そば問題④】沖縄そばなら鰹出汁、豚骨出汁どっち派?

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※①

 

沖縄そば問題』の第4回。

このテーマは、沖縄県民の間で必ず論争になる、沖縄そばに関わる話題を取り上げています。

 

今回は、そばじょーぐー(沖縄そば好き)の間でも必ず盛り上がるテーマ。

ずばり、「沖縄そばなら、鰹出汁、豚骨出汁どっち派?」

 

 

そもそも、沖縄そばは、鰹節の出汁、豚骨の出汁の両方を用いて作られるのが一般的です。

 

 

沖縄生麺協同組合によれば、沖縄そばの出汁の作り方として、①豚骨を大きな鍋で二、三時間煮る。(アクをこまめに取る事がポイント)、②豚骨のだしを十分に引き出したらカツオの削り節を入れる。③30分ほど煮て、カツオのにおいが香り立つようになったらきれいなナプキンで濾す。④出汁汁は塩(好みで醤油を入れる)で味を調える。

とあります。

 

 

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※②

 

鰹出汁と豚骨の出汁をミックスして作られるのが沖縄そばの特徴とも言えますが、専門店によって、どちらの出汁をメインに用いているのか、これが好みの分かれるところなんです。

 

小さな頃から沖縄そばを食べて育った沖縄県民には、必ずと言っていいほど「推し」の沖縄そば屋があり、「推し」の理由の一つは、この「鰹出汁、豚骨出汁どっち派?」によります。

 

 

例えば、

 

「私はやっぱり『首里そば』が好き。澄んだスープで、すっきりとした後味の鰹出汁が一番!」

という人もいれば、

 

「いやいや、沖縄そばは、濃厚な豚骨出汁が効いたコクのあるスープが魅力。『浜屋』のそばが一番!」

という感じ。

 

鰹出汁、豚骨出汁、それぞれを代表する有名店がたくさんあり、地元の沖縄そばガイド本でも、お店紹介の方法として、店の出汁のベースを「鰹出汁」「豚骨出汁」「その他」などと表示しています。

 

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※③

 

「私は○○出汁派だから、○○が好き!」と言えるようになったら、かなりの沖縄そば通と言えるかもしれません(笑)

 

 

面白いのが、鰹節と豚、どちらも沖縄の食文化に深く関わる食材ということ。

 

沖縄は鰹節の消費量が全国1位。独特の出汁文化に起因すると言われ、沖縄そばにはもちろん、沖縄料理の様々な出汁として欠かせない食材の代表です。

 

また、沖縄では「豚は鳴き声以外は全て食べる」と言われるほど、食卓に欠かすことのできない食材。ソーキ、ラフテー、三枚肉、てびち、ちまぐー、みみがー、ちらがー・・・。

かつて、各家庭で飼われていたという豚は、貴重なごちそうでした。

 

 

鰹と豚、実はどちらも沖縄の風土に根ざした、沖縄を代表する食材なんです。

 

支那そば」という形で渡ってきた麺料理が、沖縄の食文化と統合して、オリジナルの「沖縄そば」として発展していったんでしょうね。

出汁一つとっても、沖縄の地域性が垣間見えるようで面白いなあと思います。

 

 

 

 

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※④

ちなみに、沖縄そばの専門店では、鰹出汁、豚出汁のみを用いているわけではなく、鶏で出汁を取る店もあれば、昆布や野菜などの出汁を加えている店も多くあります。

 

新しい試みとして、鶏だけをベースとした沖縄そばを作る店や、鰹節に加えて、煮干しの出汁を押し出した店も出てきています。

沖縄そばの出汁の世界は、日々進化していて、明日にはまた新しい沖縄そばが生まれているかもしれません。

 

 

さて、あなたは、「沖縄そばなら、鰹出汁、豚骨出汁どっち派」でしょうか?

 

 

 

 

 

〈注釈〉

①『てぃしらじそば』の鰹ベースのスープ。澄んだスープが、美味しそう。

②『ゆがふ家」の豚骨ベースのスープ。白濁したスープは、これぞこってり。

③沖縄が誇るタウン誌「おきなわ倶楽部」作成の冊子。その名も「そばじょーぐー」。

④『鶏そば屋いしぐふー」の鶏をベースにした沖縄そば